閉校記念誌の
制作を振り返って
今、作ろうとされている方に
自分が居た場所が無くなるのは、淋しいものです。
若い頃に修行していた会社が廃業して、そこが更地になった時は、心に風穴が開きました。
学校の廃校にも、同じような思いを抱く方が多いのではないでしょうか。
なので、閉校記念誌とは、思い出の二次元化だと思うんです。
もう、校舎も校庭も、姿形は無いけれど、本を開けば懐かしい景色が広がっている。
また、子どもだったから知らなかったけれど、こんな配慮があったのかと、読んでから気づく事実、
写真の隅に写っている先生、元気にしてはるやろか? …
折に触れ、開くのが、閉校記念誌やと思います。
ただ、これを作る実行委員会は大変です。
何を載せるのか。
何を省くのか。
予算が …
船頭多くして身動きが取れなくなる方も少なくありません。
私は仕事柄、たくさんの学校にお邪魔してきましたが、学校ごとに、色、スタイル、匂い、風、全て異なります。
異なるから、愛着が湧くのだと思います。
さて、ここでは、閉校記念誌を作ろうとして、悩んだり困っておられる方に、助言をさせていただきます。
表紙・装丁
ほとんどのお客様が、上製本(ハードカバー)を望まれますが、かなり、費用が掛かります。
数百部でしたら、1冊あたり、1,000〜2,000円ほどかかります。
例えば、100部でお考えでしたら、印刷データ作成代や印刷代とは別に、製本代だけで、10万円〜20万円ほど掛かります。
これまで、たくさんの相談を受けてきましたが、上製本をお望みの方にこの話しをしますと、ほとんどの方は、顔付きが変わるほど驚かれます。
最近は、書店に並ぶ本でも、上製本が減っていることにお気づきでしょうか。
原因はいろいろありますが、一番の要因は、販売価格を抑えられなくなるからです。
せっかくの閉校記念誌ですから、豪華に見せたいというお気持ちは、痛いほど分かります。
限られたご予算の中で、安見えせず、重みを感じる装丁になるよう印刷会社に相談すれば、経験豊富なところなら、良い提案をしてくれると思います。
予算
学校関係や自治体の印刷物で、見積りを取ってから予算組みをするところは少ないです。
学校や教育委員会が取りまとめをして、提示された金額で、遣り繰りされることになると思います。
「実行委員になった(された)けど、こんなこと、やったことも無いし」という方が、ほとんどだと思います。
「何を載せるのかも決まっていない」
当然、「原稿も無い」
「印刷会社に、どう相談したら良いかも分からない」
未知のラビリンスで困り果てられる方は少なくありません。
でしたら、まず、何冊必要なのか。を、調べて決めてください。
次に、何を載せるのか、載せたいのかを、調べて決めてください。
そうすれば、かなりアバウトですが、ページ数と冊数が決まりますので、おおよその金額が見えてきます。
もし、予算に余裕があれば、表紙まわりの装丁を、豪華にすることができますし、足りないようであれば、最近は、クラウドファンディングで補填することも可能です。
内容・構成
何を載せれば閉校記念誌として成立するのかが分からず、悩まれる方は多いです。
ただ、実行委員に選ばれた段階で、学校か教育委員会が、よその学校が作ったものを、見本として、貸してくれると思います。
そのまま全て真似ても、ほとんどの人は気づきません。
ただ、これまで、たくさんの学校にお邪魔してきた私が感じるのは、自治体ごと、学校ごとに、景色、色、模様、空気(匂い)、雰囲気に、個性があることです。
関係者や卒業生などの、学校の個性を知っている人に配られる本ですから、その個性が抜け落ちていたら、喜ばれにくい本になってしまう恐れがあります。
実行委員会に、愛校精神の深い先生や卒業生を招き、その学校らしい内容にするための意見をヒントにして、組み立てられるのが良いと思います。
原稿
内容・構成が決まれば、次は原稿集めです。
写真は学校に聞けば、結構残っているものですが、創立100年を超えるような学校では、古い写真がなくて、困ることも多いです。
私の経験上、校区を探せば、一家3代続いて卒業生というご家庭があるはずですから、まずは、そこを糸口にネットワークを広げると、古い写真が出てくることがございます。
また、図書館や資料館なども、古いものの宝庫ですから、聞いてみられるのが良いと思います。
寄稿文に関しては、学校関係者、特に先生と呼ばれる立場の人に頼んで、期日通りにもらえたら、ラッキーです。
段取り良く進めたいのであれば、想定している締め切りの2週間ぐらい前を期日に定めて催促されれば、予定が崩れることは少ないでしょう。
意見がまとまらない
船頭多くして船山に上るは、学校関係の実行委員会では、よくあることです。
幼馴染とか同級生とか、気心の知れた人間ばかりなら、バランスも取りやすいものですが、「初めまして」の人が多い委員会では、「言う人」が中心となりがちで、「言わない人」が後からひっくり返したり、「言う人」同士で揉めたり…。
大人数で、全て一緒に動こうとすると、どうしても無理がでますので、全体では、まず、何を載せるかという大枠を決めることが大事です。
それが決まれば、それぞれのカテゴリーで担当を決め、分担して進めると、人数が減る分、揉める機会も減ります。
あと、たまに、全体の集まりに、印刷会社の営業を巻き込むのも良いと思います。
客観的な意見が聞けますし、共感度の高い営業なら、早く原稿が欲しいので、意見の食い違いを取りまとめようとします。
何より、実行委員会の最初の打ち合わせで、どんな閉校記念誌にしたいのか、例えば、「開くと懐かしい想いに浸れる本」とか、「友だちの顔や楽しい思い出が蘇る本」など、全員共通のテーマを決めることが良いと思います。
ゴールが決まっていれば、揉めても足並みは揃いやすいものです。
閉校記念誌を作る上で、大事と思われることを書き並べましたが、その中でも、一番大事なことは、発注する印刷会社の営業が、学校が閉校することを一緒に悲しんでくれるか、あなたの気持ちに共感してくれるかだと思います。
多くの制作現場には、原稿しか届きませんから、原稿に書かれていない、あなたの思いは伝わりません。
あなたの思いを制作現場に届けるには、営業が仲立ちとなって、伝えてもらうしかありませんから、あなたの思いをしっかり受け止めてくれる営業かどうかを、最初に観察されることが重要です。


