満中陰(四十九日)の挨拶状
はがき
信号の向きが変わるほどの台風が過ぎたあとのことでしたが、近所に住む仲良しのおばちゃんが亡くなりました。
しばらくして、娘さんがお越しになり、満中陰の挨拶状を依頼されました。
タイガースが負けた翌日以外は、いつも明るく朗らかな、典型的な大阪のおばちゃんで、遠くの親戚より近くの他人という間柄でしたから、是非もありません。
たまたま、サンプルで取り寄せた高級化粧紙が残ってましたんで、ご主人の分と娘さん二人分を作りました。
お代は、いただいていません。
娘さんから、「兄ちゃん、ナンボか言うてや」と言われましたが、おばちゃんの事を思うといただけません。
私なりの、供養のつもりで作りました。
制作実績の写真は、出来上がった印刷物をカメラで撮ったものを使うようにしていますが、これは、全部渡して残っていないので、組版データを画像にしています。
後日、香典返しを配り終えた娘さんから、「阪急百貨店の年配の店員さんが、『こんな素敵な満中陰の挨拶状は見たこと無い』って、言うてたで」と言われ、おばちゃんに恩返しができたような気になり、ほっとしました。
年に数件ほどですが、満中陰の挨拶状について、問い合わせがあります。印刷屋で頼んだ方が安いし早いと思われているようですが、実際には、葬儀屋さんや、香典返しを扱うギフト屋さんの方が安いですし、早いです。
ただ、そういう所に置いてあるサンプルでは、どうしても満足できないとおっしゃるお客様が、毎年1〜2人はおられますので、故人のお話しを伺いながら、デザインしています。